T2通信 No.53 谷川彰英先生と矢口高雄

T2通信 No.53 谷川彰英先生と矢口高雄について。T2通信とは作家であり、筑波大学の名誉教授である谷川彰英先生が主催している組織T2倶楽部の会報で谷川先生の近況、新刊本の紹介が主な内容となっています。谷川先生?誰?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、NHKの人気番組『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』にたびたび出演して地名の由来や成り立ちについて解説していた方と言えば思い出される方も多いのではないでしょうか?

秋葉原周辺の地名を探索する放送回です。谷川先生大活躍ですね。
 

こちらのタイトルですと地名研究家になっていますね。その通りで谷川先生は地名に関する著書を多く出版しています。
 


47都道府県 地名由来百科


「六本木」には木が6本あったのか? 素朴な疑問でたどる東京地名ミステリー (朝日新書)


東京「地理・地名・地図」の謎 (じっぴコンパクト新書)

そんな谷川先生ですが、もとは社会科理論の専門家であり、「連続セミナー 授業を創る」という研究団体を作り、企画したシンポジウムの記念講演を矢口高雄に依頼したところから2人の相互交流が始まりました。さらにマンガジャパンに参加することにより他のマンガ家の先生とも広く交流していくことになります。
 

谷川先生によるマンガに関する書籍はいくつかあるのですがこちらの『マンガは時代を映す』は矢口高雄、里中満智子先生、永井豪先生のエッセイがメインなのですがかなり内容が濃く、谷川先生のマンガ愛に溢れていてお勧めです。特に「里中せんせいはこんな人」というエッセイマンガが楽しいです。
 

しかしながら、谷川先生は2019年にALS(筋萎縮性側索硬化症)の宣告を受けることになります。失礼ながら私は谷川先生とは面識がなく、T2倶楽部の活動に関してもまったく知らなかったのですが、偶然、T2通信のNo.53を読む機会がありとても驚きました、それは、A4に6枚ぎっしりと矢口との思い出やマンガへの思いが綴られているだけでなく、それが「伝の心」というALS患者などの意思疎通のために開発されたパソコンを通してだと記述されていたからです。これだけの長文を記述するのには想像を絶する労力が必要でしょうね。

谷川先生の生い立ちから矢口との出会いALSとの闘病生活については『ALSを生きる – いつでも夢を追いかけていた』に詳しく載っています。闘病生活についての本となると身構えてしまう人もいるかもしれませんがとてもポジティブで楽しい本なのでぜひ手に取って頂きたいです。帯を里中先生が「どんな病気にかかるかは運でしかない、どんな生き方を選ぶかが人生だ。人間の底力と明るさを見せてくれる希望の書!!」と寄せているんですがまさに言いえて妙という感じです。
 


ALSを生きる:いつでも夢を追いかけていた

現在、谷川先生は『ALSを生きる – いつでも夢を追いかけていた』の続編を執筆中とのこと、その続編にはT2通信のNo.53も掲載されるとのことですので非常に楽しみです。出版日等決まった際にはこちらでお知らせさせていただきます。